僧堂は、禅寺の中で、僧侶の修行の中心となる場所です。いわゆる禅堂ですが、曹洞宗の僧堂は坐禅だけをするわけではないので、中央で坐禅しておられる聖僧(しょうそう)文殊菩薩さまのお名前を借りて聖僧堂、僧堂と呼んでおります。僧堂では坐禅はもちろん、函櫃(かんき)と呼ばれる開閉式の棚の中には布団があり作法に従って眠るほか、畳の縁には食卓にする部分があって、応量器(おうりょうき)という食器を広げて作法に従って食事をします。お手洗いは隣の東司(とうす)を使いながら、ここだけで修行が完結するようになっています。一人分の場所は畳一畳で、これを単位と呼び、禅僧の修行を表す「起きて半畳寝て一畳」という言葉があって、余分なものは持ち込まないようになっております。

城満寺の僧堂建立は、第四世住職・月山哲哉(大槻哲也)老師の悲願でした。月山老師は毎日托鉢に立って僧堂の建立を目指しましたが、その時に後の重興開基となる巍定容三居士(岸容介氏)に出会います。月山老師の厳しい修行と人柄に感動した容三居士は、僧堂建立のために私財を擲って寄進することを決意し、平成十八年に上棟、平成十九年に落慶となりました。月山老師のこの僧堂にかける思いは深く、修行者のために瓦敷きの床下には湿気を防ぐ炭を入れ、簾(れん)の掛かっている前門と後門の両側に立つ太い柱は、月山老師自身が削り出したものです。

僧堂内の前門の上に掲げられている扁額は「佛性海」で、御開山・瑩山禅師の「今坐禅は正に仏性海に入りて即ち諸仏の体を標す」という『坐禅用心記』の言葉であり、大本山總持寺独住第二十五世・徹玄辰三禅師の御揮毫です。僧堂の正面に掲げられている扁額は「選佛場」で、「世間を捨てて仏となることを選ぶ場所」という意味であり、東京の豪徳寺住職・機外鐵禪大和尚の御揮毫です。前門の簾は、牟岐町のパッチワークキルト作家・小栗加代子氏寄贈の「照波」で、前門から坐禅という仏性の海に入っていくことを表現しています。

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