東司とは、いわゆるお手洗いのことで、古い大寺院では東西に一つずつあり、それぞれ東司・西司(せいす)、あるいは東浄・西浄と呼んでいましたが、このお寺のように一つしかない場合は、東司の名で呼んでいます。
曹洞宗の開祖・道元禅師は、『正法眼蔵』の洗浄の巻で、お手洗いに関する作法を詳細に説いておられます。その作法をできる限り完全に実行できるようにするために、この東司を建立するにあたって、瑩山禅師のお師匠さまにあたる徹通禅師がお書きになった「五山十刹図」を参照して、湯沸かしや魚型の手洗い石などを設置しています。作法については堂内に掲示してありますので、ぜひお試しいただき、清らかな身心で本堂にお参りいただければと存じます。